製造業の検査・現場職は、転職活動で困ることがありますよね。
職務経歴書に書くことがない問題です。

「言われた検査をやってました」
「測定機器を使って寸法を測ってました」。
それだけ。
数字で語れる実績もない。自己PR欄で毎回手が止まる。

でも3社目で、ひとつだけ「書ける実績」を作りました。
面倒くさい手入力を、Excelのマクロで自動化したことです。
大層なことではありません。
ただ、それを職務経歴書の「PCスキル欄」に書いたら、転職活動で地味に効きました。

年収を100万円アップさせる転職(4社目)は、残業月30〜40時間つきで4ヶ月で心身が限界になり、退職代行で辞めました。
「年収を上げる努力」の末路はそれです。一方マクロ自動化は、仕事が楽になった上に、転職で使える実績まで手に入った
この二重取りのほうが、自分には圧倒的に合っていました。

検査職・現場職は、職務経歴書に書くことがない

転職活動をするたびに、職務経歴書を見直します。
そのたびに「業務内容欄」は同じような記述になります。

  • 測定機器を用いた寸法検査
  • 異常箇所の写真撮影、測定記録の作成
  • 出荷前検査業務

読んでいる採用担当者も、何十枚もこれを見ているはずです。
「検査職だな」とはわかる。
でもそれ以上の印象は残らない。
ほかの検査職と何が違うのか、説明できないのです。

品質保証職で「数字で語れる実績」を作るのは難しい。
不良を0件にした、クレームを削減した、そういう実績は個人の力より現場全体の話です。
会社の都合と運が絡む。「私が改善した」と言い切れる実績が、そもそも少ない職種なんです。

自己PR欄が特に困ります。
「主体性があります」「コツコツ取り組めます」。
こういうことを書いても、誰でも書けます。
採用担当者も読み慣れている言葉で、差がつきません。

3社目(機械の検査の仕事)の転職活動をしていた頃も、同じ悩みを抱えていました。
「書けることが測定記録の作成と出荷前検査しかない」状態。書類選考が通らない原因の一つはここだった、と今でも思っています。

3社目で、毎回の手打ちをマクロで自動化した

3社目では主に、機械の部品を検査して「測定記録(成績書)」を作る仕事をしていました。

検査のたびに、同じ箇所を手入力します。
品番、検査日、検査担当者名、測定値の転記。
毎回同じフォーマットに、毎回同じ手順で埋めていく。
特に繁忙期は同じ機械を何台も連続で検査する。
記録作業だけでかなりの時間がかかります。

「この入力、自動化できないのかな」と思ったのが出発点でした。
プログラミングの知識はゼロです。
「VBA」という言葉を聞いたことがある程度。

調べると、Excelには「マクロ記録機能」があります。
操作手順をそのまま記録して、ボタン一発で再現できる機能です。
プログラミングを書かなくていい。
自分がやった操作を「覚えさせる」だけです。

最初は単純な繰り返し作業から試しました。
毎回手でやっていたセルのコピー&ペーストを記録。動きました。
それを少しずつ応用して、データを別シートから引っ張る処理を加えました。
コードは読んでいません。動いたらOK、それだけです。

大層なことではありません。プログラマーが見たら笑うような、単純なマクロです。
でも毎日の手間が消えた
成績書の定型作業がボタン一発で終わるようになりました。

その「改善」を職務経歴書に書いたら、転職で武器になった

問題は「書いた内容」と「書き方」です。

最初は普通に「Excelが使えます」と書いていました。
どうせ全員書いてある。採用担当者には刺さりません。

マクロを作ったあとは、PCスキル欄の書き方を変えました

Excel VBA:検査記録の作成マクロを自作。定型入力を自動化し、記録作業を効率化した実績

「Excelが使えます」から「VBAでマクロを作り、作業を効率化した」に変わりました。
同じ「Excel」でも、具体的な中身がついた途端に見え方が変わります。

「測定記録の作成・出荷前検査」という業務欄の中で、この一行だけ毛色が違う。
書類審査の時点で、ここだけ少し浮かび上がります。

自己PR欄にも変化が生まれました。
「主体性があります」ではなく、「繁忙期に業務の非効率な部分を自分でマクロ化して時短した」という具体的なエピソードとして書けるようになりました。
「業務改善経験あり」は現場職でも書けると、ここで初めてわかりました

ちなみに、このマクロの話は当初「業務改善能力」のアピールとして前面に出していました。
ただ転職活動の情報を集めるうちに、「現場職はチームワークや協調性を推したほうが通りやすい」と知って、今はアピールの主軸をそっちに寄せています。
マクロは“鉄板の一行”として残しつつ、出しすぎない。
実績は作っておいて、見せ方は相手に合わせて変える。それくらいの距離感がちょうどいい、というのが今の結論です。

覚えたのは「プログラミング」じゃなく「AIへの相談の仕方」

3社目でマクロを作った頃は、まだChatGPTが広まっていなかった時期です。
マクロ記録機能を使った手探りだけで、VBAのコードを自分で書いたり読んだりする知識はありませんでした。動いたらOK、という進め方です。

現職(製造業の品質関連の仕事)に移ってからは、AIを使うようになりました。

現職のITリテラシーは、はっきり言って高くありません。
Excelはあるけれど、関数も大して使われていない。マクロを使っている人はほぼいない。
AIは天気予報を調べるのに使う、みたいな職場です。

1〜2年放置されていた、ある手入力のデータ整理作業がありました。
毎回同じ手順で、同じ表に転記する作業です。
「これ自動化できそうだな」と思いましたが、自分の力だけでマクロを書くのは面倒です。ただ、今はツールが違います。

AIに相談しました。
「こういう操作を自動化したい。こういうデータがある」と説明すると、コードを書いてくれます。
動かなければ「このエラーが出た」と貼り付ける。直してくれます。

作成時間は約1時間。処理にかかる時間は5分以下になりました。
1年分の処理が、5分で終わる計算です。

3社目のときは、マクロ記録機能で手探りしながら時間をかけて作りました。今はAIに相談すれば1時間でできます。
3社目の頃と比べると、敷居が圧倒的に下がっています。

ただ、正確に言うと覚えたのはプログラミングではありません
「AIにどう伝えたら目的のものを作ってくれるか」を覚えた、というほうが近いです。
自分でゼロからコードを書くことはできません。複雑な処理は無理です。でも「繰り返し作業を自動化する」レベルなら、AIに頼めばそれなりのものが作れます。

VBAのことが何もわからなくてもいい。
「この操作を自動化したい」という要件だけ整理できれば、あとはAIが埋めてくれます。

まとめ:年収を上げる転職より、小さい改善の積み重ねのほうがコスパが良かった

「コスパ」という言葉を使う前に、比較対象を明示しておきます。

4社目の転職は、年収を100万円アップさせることに成功しました。
残業を込みで計算すると150万円以上の差になる計算でした。数字だけ見れば大成功です。
ただ実態は、月月30〜40時間の残業と「中途は即戦力」文化による放置、関西方面への転勤が入社直後に発覚、という状況でした。
4ヶ月で心身が限界になり、退職代行で辞めました。これが「年収を上げる努力のピーク」です。

一方、これと比べたとき、3社目でのマクロ改善は何だったか。

  • 繁忙期の手入力が楽になった
  • 「業務を効率化した実績」として職務経歴書に書けるようになった
  • 自己PR欄で「業務改善ができる人間」として打ち出せるようになった
  • 転職活動で具体的に語れるネタが一つ増えた

楽になりながら、転職で使える実績まで増えた
これが3社目のマクロ改善の結果です。残業も増えていないし、心身が壊れることもない。
比べると、どちらのコスパがいいかは明らかです。

現職では同じことをAIでやっています。
難しいことはできませんが、繰り返し作業の自動化なら、AIへの相談で十分対応できます。

現場職・検査職の人に伝えるとするなら、ひとつだけです。
まずAIに相談してみてください。プログラミングを勉強する必要はありません。
「この作業、自動化したい」と話しかけるところから始めれば、あとはAIが道を開いてくれます。

「業務改善」の実績は、現場職でも作れます。
大それたプロジェクトじゃなくていい。面倒な手入力をマクロ化した、それだけで職務経歴書の一行が増えます。
転職のたびに「書くことがない」と悩んでいる人には、その一行が意外と効いてきます。

ただし「書ける実績が増えた」だけで転職が全部うまくいくわけではない。
4社目のことを振り返ると、そこは素直に認めるしかありません。書類通過より入社後のほうが、はるかに重要です。

次回予告

次回は「子会社と親会社、どっちで働くほうが得か」を書きます。

4社目でプライム上場の親会社系大手メーカー、現職でその親会社の子会社。
両方を経験した立場での比較です。
「大手に行けばよかった」「子会社は先が見えない」という話はよく聞きます。でも実際に両方入ってみると、見え方が変わります。

「年収」「残業」「職場の雰囲気」「福利厚生」「安心感」。それぞれの軸で比較します。