年収550万 vs 年収480万、選んだのは後者だった理由
同じ製造業の品質関連の仕事で、
年収550万のプライム上場、年収480万の子会社。
2つの選択肢があったとします。
普通は550万を選ぶ。
私もそう思っていました。
でも実際に両方経験して、最終的に選んだのは後者です。
年収を70万下げて、定時退勤の方を取りました。
綺麗な話ではないです。
実際は4ヶ月で耐えられなくなって辞めたんですが、後で電卓を叩いてみたら、時給で見ると意外と差はなかった。
たった76円。
それだけのために病むなら、定時退勤の方を選んだほうがマシだった、という話です。
年収550万の実態:プライム上場4ヶ月の中身
4社目はプライム上場の大手部品メーカーでした。
年収550万、3社目から100万アップ。
残業代を込みで考えれば、年間で150万近く増える計算になります。
内定をもらった時の日記がこれです。
早々に内定がでて草
年収550万円
今より140万円も上がる
残業と仕事についていけるかが不安だな
このときはまだ、年収の数字に素直にテンションが上がっていました。
実際に入ってみたらどうだったか。
順に書いていきます。
残業30~40時間+「お疲れ様」を言わない文化
定時のチャイムが鳴っても、誰も帰りません。
みんな18時くらいまでは普通に残っていて、それが当たり前の空気です。
私は中途で入った身なので、最初は様子を見ながら残業に付き合っていました。
定時退社日だと、逆に先輩がソワソワし始める日がありました。
たぶん、いつも私が一番乗りで帰っていたから、先輩も帰りどきがわからないんだと思います。
結局15分くらいウロウロして、挨拶もなしに先輩が消えた日もありました。
私はそのまま残業に突入。19時半すぎに会社を出る日もありました。
「お疲れ様でした」と声を掛け合う文化もない。
ヘトヘトで家に帰ると、もう寢るだけです。
風呂入って布団に入って、明日の朝が来る。
それの繰り返し。
残業30時間というのは、月単位で見れば「20時間以内じゃないし、まあ普通」と思えますが、毎日の生活感で言うと自分の時間が消える水準でした。
入社直後に関西転勤の通告
私は神奈川県内の勤務を希望して入社しました。
求人票の勤務地も神奈川県内で、そのつもりで生活設計していたんです。
ところが入社してすぐに、関西方面の別工場への転勤可能性を伝えられました。
寝耳に水です。
直近で結婚関連の予定もあり、生活基盤を関西に動かす想定はゼロ。
妻と相談しても答えは出ない。
課長面談のたびに、転勤と発表業務の話が出てくる。
課長面談があった
めんどかった
やめようかな
(関西)行きたくねえし
発表とかしたくねえしよ
入社1ヶ月でこのテンションになっているのは、自分でも書いてて引きます。
でも本心でした。
教育なしの「自分で考えろ」、それでも発表しろ
プライム上場の大手って、中途にもがっつり教育してくれるイメージがありませんか。
私はそう思っていました。
実態は真逆で、「中途は即戦力扱い」が徹底されていました。
わからないことを課長に聞くと「自分で考えろ」と返ってくる。
じゃあ先輩はどうかというと、肣心な業務は先輩自身も把握していない。
誰に聞いても答えが出ないまま、会議では議事録を任され、品質会議では発表を任され、客先には電話で説明を求められる。
課長にきくと自分で考えろと怒られる
それでも会議で説明しろ発表しろ
議事録は、レコーダーを回して後で聞き直して書いていました。
会議中は「何言ってんだかわからん」状態。
客先への電話も、聞かれた内容に答えられず、相手も困惑する。
大の大人3人で何やってるんだろう、と思いながら毎日が過ぎていきました。
妻に心配される状態まで来た
身体に出始めたのは2ヶ月目あたりからです。
朝の調子が崩れている日が続く。
昼になっても食欲が湧かない。
出張帰りの新幹線で切符をなくしたり、家に着いてもイライラと空腹が同居している。
心身に限界が来ている感覚は、自分でもわかっていました。
最終的に、妻からも心配されるようになりました。
詳しい経緯は第2記事に書いた通り、退職代行で辞めました。
年収550万の中身は、残業30~40時間+関西転勤通告+教育なしの放置プレイ+精神コスト。
表面の数字だけ見て選ぶと、こうなります。
年収480万の実態:子会社の現職はどうか
5社目、現職は親会社100%出資の子会社です。
製造業の品質関連の仕事をやっています。
年収は480万。4社目から70万のダウン。
数字だけ見るとマイナスです。
でも生活の中身は逆方向に大きく動きました。
フレックスの実運用:7:45出勤、16:30退勤
会社の所定労働時間は8:30~17:15ですが、コアタイムが10:00~15:00のフレックス制です。
私は7:45出勤の16:30退勤で固定運用しています。
朝の時間の話をします。7:45に着くと、フロアが静かです。
早く来ている人もいるけど、まだ電話が鳴らない時間帯。
コーヒー入れて、メール開いて、自分のペースで仕事に入れる。
これだけで一日のストレスが半分くらい変わります。
入社して数ヶ月後、日記にこう書いていました(実際の退勤は16:30運用です)。
もうね7:45-16:45これよな
ストレスなし!
朝の時間が若干短くなるけど
16:30に退勤すると、夏場ならまだ完全に明るい時間です。
冬でも日沒ギリギリ。
明るいうちに家に向かうという感覚は、4社目では一度も味わえなかったものです。
残業月10時間未満、出張は月1~2回(関東圏)
残業は実質月10時間未満で運用しています。
仕事量自体は多い日もありますが、優先順位を自分で組んで、定時で切り上げる選択ができる。
出張は月1~2回、関東圏内です。
これは正直、嫌じゃない頻度です。
毎日同じ場所に座っているのと違って、出張は気分転換にもなる。
日帰りか1泊で済むので、家を空ける負担も少ない。
これが月4~5回・遠方ばかりだったらキツいですが、月1~2回ならむしろ気分転換に近いくらいの温度感です。
同僚との関係性:殺気立っていない職場
職場の空気感が4社目とは全然違います。
定時で帰る人がいる。
お疲れ様を言って帰る。
誰かが残業していても、それを「えらい」とか「当然」とか評価しない。
殺気立っていないんです。
みんな自分の仕事をやって、終わったら帰る。それだけ。
当たり前のようでいて、4社目を経験するとこれがどれだけ希少な環境かがわかります。
仕事の中心は親会社からの依頼で、書類作成や検査が多め。
3社目と構造がよく似ています。
「下請け構造への閉塞感」で辞めたはずなのに、気づけば別の会社で同じ親会社依存の構図に収まっている。
皮肉ですが、自分にはこの方が合っていたという話です。
「ぬるま湯」の本質:年収より時間を選ぶという腹落ち
このブログ名は「ぬるま湯転職ブログ」です。
熱い湯に飛び込んで火傷したから、ぬるま湯がちょうどいいと気づいた。
それだけの話なんですが、実感として言葉になったのは現職に入ってからでした。
年収を上げることが目的ではなくて、年収と労力のバランスで見たときに、自分にとって合うレンジがどこか。
それを探すのが転職だと、今は思っています。
時給換算してみると、たった76円しか違わない
ここからが本題です。
年収だけ見ると550万 vs 480万で、70万の差があります。
でも残業代を込みで労力で割ると、景色が一気に変わります。
ざっくり計算します。
4社目(プライム上場)
- 基本給年収 550万 + 残業代(月40h想定) = 実収 600万近く
- 労働時間:所定160h + 残業40h = 月200h ×12ヶ月 = 年間2,400h
- 時給換算:約2,500円
5社目(子会社)
- 年収 480万(残業10h未満で見える残業代は少ない)
- 労働時間:所定160h + 残業5h = 月165h ×12ヶ月 = 年間1,980h
- 時給換算:約2,424円
差は時給でたった76円でした。
もちろんプライム上場の方が高いんですが、踏み込んだ時点で「100万アップ!」とテンション上げてた身としては、拍子抜けします。
たった76円。
それも、関西転勤の精神コストも、教育なしのストレスも、家に帰っても何もできない時間の損失も乗っていない状態で。
それを乗っけたら、コスパは逆転します。
たった76円のために、病むのは割に合わない。
それが電卓を叩いて出た結論でした。
お金で買い戻せない時間
時給で見てほぼ同じなら、可処分時間が長い方が勝ちです。
ここは単純な算数の話。
16:30に退勤すると何ができるか、具体的に書いていきます。
家族と過ごす時間が増える
家にいる時間が増えると、同じ「家にいる」でも質が違ってきます。
夜遅くヘトヘトで帰って娘の寢顔だけ見て寢る生活と、明るいうちに帰って一緒に夕食を食べる生活。
物理的な時間も違うし、自分のコンディションも違う。
疲れ切った状態で家にいるのは、家族にとっても居るだけの存在になりがちです。
娘が寢る前の時間に間に合うかどうか、夕食を一緒に食べられるかどうか。
この差が、生活満足度の大半を占めていました。
自分の時間で動かせる活動が増える
家族時間以外にも、夜に少しずつ動かしている活動があります。
- このブログを書く時間
- アニメを見る時間
- YouTubeやSNSで世の中の情報を流し見する時間
どれも単体では大した時間じゃないですが、毎日少しずつ積み上がるのが大きい。
残業30時間生活では、このどれもが「やる気力が残ってない」で消えていました。
体感の対比
4社目のとき、朝の調子が崩れている日が続いていました。
仕事のストレスが身体に出るタイプの不調で、自分でも「これはまずい」と思いながら毎日通勤していました。
現職になってから、この症状は完全に消えました。
朝普通に出社して、普通に仕事して、普通に退勤する。
普通であることの価値を、4社目で一度失ってからようやく実感しています。
残業するととにかく腹が減る
自分の時間がなくなる
帰るのが2時間遅くなるだけで自分の時間ほぼないんだから、世の中の残業まみれの社会人はなんのために生きてるんだかわからなくならないのかな
これを書いていたのは4社目に行く前の自分です。
本人がわかってたのに、年収に釣られて忘れていた。
76円。
たった76円のために、2時間早く帰る毎日を失うのは、自分には違うと思います。
結論:年収より時間
綺麗事ではなく、本音で書きます。
年収を上げたかった時期は確かにありました。
プライム上場に行きたい、大卒の仕事がしたい、と思っていた時期もあります。
実際に行ってみた結果、私には合わなかった。それだけです。
合わなかった理由を後付けで整理すると、「年収の数字より、時間の余裕の方が自分には価値が高かった」という話に落ち着きます。
これは万人向けの結論ではないです。
バリバリ働いて年収を上げたい人にとっては、550万のプライム上場は正解だったかもしれない。
ただ私は、家にいる時間と昬寡の時間を増やしたい側の人間だった。
そこに70万円を払う価値があった、というだけです。
年収のオファーが出た時、必ず時給換算で見比べてください。
残業代込みで、残業時間、通勤時間、転勤の有無、精神コスト、全部込みで割る。
表面の数字だけで判断すると、私みたいに4ヶ月で退職代行を呼ぶ羽目になります。
次回予告
次回は、現職で地味に効いているExcel VBAの話を書きます。
1年分の作業を5分に短縮した話。
年収を上げずに労力を下げる、もう一つの方向の話です。