転職活動で4回、面接官に退職理由を話しました。
どれもそれっぽく整えた。嘘ではない。
ただ、日記にはもっと汚い言葉で本音が書いてありました。

軸記事では転職遍歴の全体像を書きました。
今日は直近2回——3社目(6年いた子会社)と4社目(4ヶ月で辞めたプライム上場)——にしぼって、建前と本音を並べてみます。

6年いた子会社を辞めた本当の理由

建前:親会社の先に未来が見えなかった

3社目は親会社の100%出資子会社で、業務は親会社からの請負(=実質下請け)。
遠心分離機の修理を6年やってました。

面接ではこう話していました。

規模の大きい企業で働いてみたいと考え、転職しようと考えました。
自分の仕事の先がどうしても親会社がゴールであるように感じたため、やりがいが見えなくなってしまいました。自社製品を持っている会社ならば、自分の仕事を通じて様々なことに関わっていると肌で感じることのできる働き方ができると思いました。

これは嘘ではない。
下請け構造の閉塞感は、確かにあった。

ただ、本音はもっと身も蓋もなかった。

本音:「心が死んだわな」

2022年11月の日記より。

考えて頑張って動いた結果がそれならばもう頑張る必要はないのではないでしょうか
やるせない悲しい
それでも自分なりに頑張ってた
その結果が「仕事のことを全く考えてない」
心が死んだわな
転職活動しようね〜

本音は「やりがいが見えない」じゃなくて、
「頑張ったのに評価されなかった怒り」でした。
面接でこれをそのまま言うわけにはいかない。

そして、もう一つ恥ずかしい本音がありました。

親会社の人や大企業の人が、自分よりゆるく働いていて自分よりいい待遇で働いているように見えてしまった。
ネットの情報を鵜呑みにして「大企業にはまともな人が多い」と夢見ていた。
要するに、隣の芝生が青く見えていただけかもしれない。

この「大企業幻想」が、後で自分を4ヶ月でぶっ壊すことになります。

引き金:非破壊検査の工程写真の件

退職を決意したのは、現場で起きた水掛け論がきっかけでした。
2023年11月の日記。

あれは?!○○の写真のやつ!!って
いや、知らねえし日本語喋れよ
返したし
返してもらってない
返しました
返してもらってない
エンドレス!!!!
なんやこいつ!!!!
辞める決心ついた

非破壊検査の工程写真をめぐって、現場で誰かと「返した/返してない」のループに巻き込まれた日。正直、何の話か途中までよくわかっていませんでした。

文章にすると伝わらないくらい小さい話です。

ただ、退職を決めるってこういう小さい一件の積み重ねで、ある日突然来るものだなと思います。
本音の中身は、面接の建前みたいにきれいに整理されてくれない。

4ヶ月で辞めたプライム上場の本当の理由

3社目で抱えていた「大企業幻想」を抱えたまま4社目に入りました。
結果、4ヶ月で粉砕されることになります。

建前:転勤予定+業務ギャップで限界

退職後の転職活動で、面接ではこう話していました。

退職を考えた理由は2点あります。
1点目は、入社後すぐに関西方面への転勤を知らされたことです。
直近で結婚の予定があり、突然の転勤は難しい状況でした。
2点目は、精神的に追い詰められたことです。面接時に品質保証の経験が浅いことは伝えていましたが、入社後は「中途はできて当たり前」という雰囲気でした。
十分なサポートを得られず、知識が不十分なまま社内外への説明を求められ、最終的に妻から心配される状態になり、退職を決意しました。

これも嘘ではない。
関西転勤は実際に内示されたし、即戦力扱いでサポートはなかった。

ただ、面接で言える「精神的に追い詰められた」は要約でしかない。
本音は、もっと日常的で、もっと情けない記録の連なりでした。

本音:「腹が痛い 飯が食えない」

2024年4月の日記。

腹が痛い。飯が食えない。楽しくない。
昨日はねむかった
やめようかな

同じ月、別の日。

課長面談があった
めんどかった
やめようかな
関西行きたくねえし
発表とかしたくねえしよ

5月に入って。

泣きそうだったわ人生とは
やめてえなやめたい

やめるよ
妻に心身限界って言われたしな
上司がいない
先輩は使い物にならない
課長にきくと自分で考えろと怒られる
それでも会議で説明しろ発表しろ
はらいてえよ
どうしたらいいのかわからねえ
退職代行!!

面接で言った「精神的負担」は、本音だとこういう毎日の積み重ねでした。
腹痛・寝不足・めんどくさい課長面談。
書いてあるのは感情語と日常の細部だけ。

これを面接でそのまま言ったら、たぶん採用されません。

決定打:新幹線で切符をなくした帰り道

退職を決めた直前、2024年5月の日記。

上司に業務課に確認しろって言われた件
何もわからねえまま電話したら業務課の担当者に困惑された
俺もわからんだから相手もわからんだろう
ネットの設定の際も馬鹿にされた
ぼくはもういたくなかった
何をどうすればいいのかもわからない
聞いても「考えろ」
大の大人3人で何をやってるんだろう
帰りの新幹線、切符なくした…
帰ってからは疲れたしイライラするしお腹は空いてるけど食べられない

この日の帰り道で、何かが折れた感覚がありました。

翌週、退職代行に連絡しました。
退職代行を使ったこと自体は別に隠すつもりはありません。
ただ、その手続きまでの数週間が本音側の「精神的に追い詰められた」の中身です。

建前と本音、何が違ったのか

並べてみてわかったのは、建前は本音の「要約」だったということです。

嘘ではない。
事実を整えて面接で口に出せる形にしただけ。

本音側には、建前にない要素が2つありました。

  • みっともなさ:腹が痛い、泣きそう、水掛け論にブチギレ、隣の芝生が青く見える
  • 具体性:あの月のあの電話、あの帰りの新幹線、あの日の課長面談

面接で出せるのは要約まで。
それでいいと思います。
建前と本音の差は、嘘の量じゃなくて整理の量です。

これから面接を受ける人へ

本音をそのまま面接で言うとどうなるか。
たぶん、感情語は面接官に伝わりません。
「腹が痛くて」「泣きそうで」と言うとストレス耐性なしと判定されます。

本音は日記に閉じ込めて、面接では要約だけ出すのが正解です。

参考までに、自分が使った「本音→建前」翻訳パターンを3つ。

1. 感情語を構造の言葉に

  • 「ムカつく」→「評価制度に納得感が薄かった」
  • 「腹が痛い」→「業務上の負荷が継続的にかかっていた」

2. 個人名・固有名詞を業界一般語に

  • 「○○課長が」→「中途即戦力文化の中で」
  • 「あの会社の」→「規模の大きい組織で」

3. 時系列を圧縮

  • 「あの日のあの電話で」→「業務ギャップが解消されず」
  • 「新幹線で切符なくした日に」→「複合的な要因が重なり」

嘘をついているわけじゃない。
本音を要約しているだけ。
これができれば短期離職でも面接は乗り切れます。

実際、自分は4ヶ月離職の状態からいまの5社目の内定をもらってます。

次回予告

次は短期離職を面接でどう乗り切ったかの話を書く予定です。
「4ヶ月で辞めた人」をどう説明したか、どこを聞かれて何で答えたか。
同じく日記の本音と並べる形になると思います。