プライム上場の親会社を4ヶ月で辞めました。
今いるのは年収480万、別のプライム上場グループの100%子会社です。

「もったいない」
「大手のほうが良かったんじゃないの」
たまにそう言われます。

でも戻りたいとは思いません。
親会社も子会社も中から見たうえで、私は今の子会社を選んでいます。

プライム上場のブランドは、確かにあった方がいい。
それでも私は、定時で帰れるほうがよかった。

これが4ヶ月で出た結論です。

親も子も中から見た

まず私の立ち位置から話します。

3社目はプライム上場親会社の100%子会社。
年収450万、残業はほぼゼロで6年いました。

4社目で親会社側、つまりプライム上場の大手メーカー本体に転職。
年収550万、残業は月30〜40時間。4ヶ月で退職代行を使って辞めました。

親会社(プライム本体)で実際に何が起きたかは別記事に詳しく書きました。
品質保証で燃え尽きた話

今の会社は別のプライム上場グループの100%子会社。
年収480万、残業は月10時間未満です。

子会社から親会社を見て、親会社から子会社を見て、また子会社に来た。
同じ製造業の品質まわりの仕事で、3つの立ち位置を経験しました。

「親も子も両方わかる」人は意外と少ない。
これがこの記事を書く根拠です。

転職市場では「親会社がいい」「子会社がいい」の議論をよく見ます。
でもたいていは片側しか知らない人の話です。
親会社しか知らない人は子会社の働き方を想像で語るし、子会社しか知らない人は親会社の苦労を見ていない。

私は短い期間とはいえ両方の中に入りました。
だから書ける現実があるし、書きにくい現実もある。
どっちも正直に出します。

親目線:子会社は無責任に見えた

4社目の4ヶ月で、三つの場面がありました。

出張に行くと「お客様」扱い

不具合の調査で、取引先の子会社に行く機会がありました。

入った瞬間の空気が3社目の頃と全然違う。
年上で役職もある人が、丁寧に頭を下げて挨拶してくる。
コーヒーが出てくる。こっちの話を真剣に聞いてくれる。

3社目の頃は自分がその側でした。
親会社の人間が来ると職場全体がピリッとする。

「親会社さんが来た」という空気です。

逆側に立って、構図がはっきり見えました。
親会社から来た人間は問答無用でお客様扱いされる。
立場が上、というのはこういうことです。

辟易したわけじゃない。
ただ「あ、これが親会社か」と腹に落ちました。

(ある子会社)は立派だった
でけえ みんなヘコヘコしてくる
これが親会社か

4社目のときの日記です。
立場が変わると見える景色が変わります。

電話で責任を投げられた

もう一つ、電話の場面です。

不具合の対応で、ある子会社に電話をかけました。
出た担当者の声が、やたら小さい。

「あー、えー、私に聞かれても……」
なよなよした対応です。

「親会社さんなら何とかしてくれるでしょ?」
そんな空気が電話越しに伝わってくる。
責任の話をしても「確認します」と言ったまま動かない。

頭に浮かんだのは「なんで私が尻ぬぐいしてるんだろう」でした。

3社目までは私もその子会社の側にいた人間です。
親会社から来た人に寄りかかる気持ちは、わからなくもない。
ただ親会社の側でそれを向けられると、急に重い。

立場が変わると同じ構図がまったく違って見えました。

最後の出張で心が折れた

辞めると決めた最後の引き金は、ある出張でした。

経緯もよくわからないまま矢面に立たされて、電話で受け答えをして、バカにされた。
聞いても返ってくるのは「考えろ」ばかり。

大の大人が何人も集まって、何をやってるんだろうと思いました。

詳しい経緯は第2記事に書いたので、ここでは繰り返しません。
ただ「もうここにいたくない」とはっきり思ったのが、この出張でした。

親には親の苦労がある

今になって思うことがあります。

当時「無責任に見えた」子会社の対応も、子会社側からすれば「親会社の人が来たときどう振る舞うか」の問題です。
責任の押し付けに見えた部分も、「親会社さんに任せたい」という依存じゃなく「決定権を持ってるのはそっちでしょ」という構造の話でもある。

私も3社目のとき、親会社からの問い合わせにすぐ答えられないことがありました。
子会社の側にいると、親会社の決定を待つしかない場面が確実にある。

今は自分がまた子会社側にいるので、あのとき無責任に見えた相手の立場も少しはわかります。

「親から見ると子は無責任」も本当だし、「子から見ると親の決定待ち」も本当。
両方やったから、どっちの言い分も少しはわかります。

子目線:30代が少なく先細り

子会社のいいことだけ書いても嘘になります。
来てから気づいたデメリットも正直に書きます。

今の職場で目立つのは40代後半以上の多さです。
30代が体感でかなり少ない。

親会社は20代から50代まで満遍なくいました。
子会社は中堅が薄い。

理由は構造で説明できます。
子会社は採用規模が小さい。景気で採用を絞った時期があると、その年代がぽっかり空く。

「一定の世代がいない」会社は珍しくありません。

先細り、という言葉が浮かびます。
10年20年後にこの組織がどうなってるかは、正直読めない。

ただ「だから辞めたい」とは思っていません。
10年後より今の生活のコスパのほうが、私には大事だからです。

先細りと16:30退勤、どっちを取るかと言えば、今は後者です。

これは価値観の話なので正解はない。
でも「子会社って安定してていいよね」の一言で済ませず、こういう面も知ったうえで選ぶほうがいい。
私はそうしています。

それでも私が子会社を選ぶ理由

今の会社に来て、平日の夕方の使い方が変わりました。

4社目のときは退勤後に何かする余力がなかった。
帰ってもヘトヘトで、飯と風呂で終わり。
妻とゆっくり話す時間も、自分の時間もほぼなかった。

今は16:30に職場を出ます。
それだけで夕方の選択肢が全然違う。

ある日の日記です。

16:45退勤
帰宅して美容院(中略)
帰りに(食事)って帰宅

退勤後に美容院へ寄って帰れる。
残業がない生活の象徴みたいな話です。

美容院が大事なんじゃなくて、「退勤後に用事を入れられる」こと自体が4社目では無理だった。

家に帰ると娘がまだ起きています。
夕食に間に合う。疲れ方が違うから会話もできる。
4社目の頃は帰って飯と風呂で精一杯、寝るだけの夜が何週間も続いていました。
別の生活です。

出張は月1〜2回の日帰り

今の出張は月1〜2回、ほとんど関東圏です。
私には「ちょうどいい刺激」に収まっています。

毎日同じ場所より、月に1〜2回外に出るほうが気分転換になる。
日帰りか1泊で済むから、家を空ける負担も小さい。

出張で疲れても、翌日は16:30に帰れるから取り戻せます。

4社目の「関西転勤かも」という話とは、精神的な重さが全然違う。
月1〜2回の関東日帰りなら、家族の生活リズムも崩れません。

週末が変わった

4社目のとき、週末は休息の消費でした。
月曜にまた耐えるための回復時間。
土日で体力を戻して、また月曜を迎えるループ。

今は週末の意味が変わりました。
回復に全部使わなくてよくなった。
家族で出かける余裕があるし、アニメを見て過ごす日もある。

次の月曜への憂鬱が、4社目の頃とは比べ物にならないくらい薄い。

「精神的余裕」はわかりにくい言葉ですが、要は日曜の夜に明日を考えて沈むかどうかです。
4社目では沈んでいた。今は沈まない。
それだけ違います。

「年収より時間」の実感

年収は4社目から70万下がりました。
数字だけ見れば損です。

でも4社目は月30〜40時間の残業込み。
時給で見れば今のほうが上です。

その計算は第5記事に書いたので、数字はそちらで。

言いたいのは数字だけじゃない。
「平日の夕方に予定を入れられるか」「週末が回復だけで終わらないか」。
これが私にとっての仕事の良し悪しでした。

年収は高いほうがいい。当たり前です。
でもそれ以上に、娘と夕食を食べられる回数のほうが、今の私には大事だった。

その判断が家計にどう効いたかは別記事に書いた

親会社の良さは感じる前に辞めた

公平に書きます。
4ヶ月しかいなかった親会社にも、良かったものはあります。

年収は確かに良かった。
550万、3社目から100万アップ。残業込みなら150万以上の差になった時期もあります。
手取りが変わると生活のゆとりが違う。

フレックスも整っていました。
使える環境かどうかは別として、仕組みはあった。

社員食堂も、ひねり出せば良かったかもしれない。

昼飯は(同僚)と社食
そんなに美味しくなく冷たいトンカツ定食(450円)
これは4社目の勝ちか

これは今の会社の日記で、4社目の食堂のほうが美味かったという話です。

正直に言います。

年収もフレックスも食堂も、「ありがたみを感じる前に辞めた」のが実態です。

精神的に余裕がなかった。
月30〜40時間の残業、教育なしの放置、関西転勤の通告、矢面に立たされるプレッシャー。
積み重なって4ヶ月で限界が来ました。

ありがたいと感じる余裕は、最後まで生まれなかった。
それが4ヶ月の正直な感想です。

まとめ:両方見た結論

整理します。

親会社で良かったこと

  • 年収が高い
  • 施設や制度が充実
  • 「プライム上場」のブランド

親会社でしんどかったこと

  • 残業30〜40時間が日常
  • 教育なし、中途は即戦力扱い
  • 転勤が入社直後に発覚
  • 力関係の頂点に立つしんどさ

子会社で気になること

  • 30代が少なく先細り
  • 年収の伸びしろが小さい
  • 親会社の意向に左右される

子会社で良かったこと

  • 残業がほぼない
  • 定時退勤が当たり前
  • 退勤後に用事を入れられる
  • 翌日の朝を恐れない余裕

私には子会社のほうが合っていた。
それだけは4ヶ月かけて体で確かめました。

「大手に行けばよかった」「子会社は先が見えない」。
そういう声もわかります。
親会社にいたとき、給与明細の数字は確かに良かった。

でも今の生活と天秤にかけると、優先順位は変わらない。

年収より時間。

4ヶ月の親会社生活が、この軸をはっきりさせてくれました。
回り道だったけど、「子会社のほうが自分に向いている」という確信は手に入った。
4ヶ月分の授業料としては、まあ高くなかったと思っています。

次回予告

次回は「年収より時間が欲しい人の家計戦略」を書きます。

年収480万、残業ほぼなし。
それでもNISAに月5万積み立てながら生活が回っている話です。

「年収を下げた分どこを削るのか」「下がっても家計は維持できるのか」。
数字ベースで書きます。